2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧
フランス現代思想を専門とする内田樹教授の身体論をあつめたアンソロジーだ。 このひと、合気道多田宏師範の弟子で、合気道六段、居合道三段、杖道三段の 武道家でもある。 そのブログは多くの読者から支持されているが、この本もおもしろい。 「合気道とは…
中原、米長時代が到来する前、いまから三十年以上前に、 当時の一流棋士と飛車落ちで対局した十番勝負の自戦記だ。 敗戦が重なり、自分のふがいなさに、連載をやめようとする など、その勝負に対する真剣さが好ましい。 そして、本人がこれは棋士銘銘伝のつ…
あのガンダムの安彦良和の作品。まだ、当事者が生きているかもしれない 時代の事件に取り組んだ力作だ。 満州国の建国大学に主人公の青年ウムボルト(日蒙混血)が入学するところから 物語ははじまり、ノモンハン事件で終わる。 ストーリーとして混沌とした…
宋建国時の英雄楊業とその息子たちの物語だ。 無敵の楊家軍に対して、過酷な漠北で騎馬隊を鍛え上げた 遼の名将「白き狼」耶律休哥が戦いを挑む。 四郎、六郎、七郎という息子たちが、それぞれ強さを求めて 悩みながら自らを鍛え、敵に立ち向かっていく中、 …
「夏草冬濤」の続編。 高校受験に失敗してぶらぶらした日々を過ごす洪作は、 「練習量がすべてを決定する柔道」をやってみないかと いう魅力的な言葉に、金沢四高を訪ねることになる。 そこで、また、魅力的な連中との出会いがまっており、 柔道の稽古をおこ…
司馬遷にはるかに及ばずから「司馬遼太郎」というペンネームが生まれたそうだ。 その司馬が、ついに司馬遷の史記の世界を描いたのが本作品で、 その意気込みが伺える。 この作品の中には、すべての人間の類型が描かれていると誰かが書いていた 記憶があるが…
先崎学八段は米長邦夫永世棋聖の弟子にして、羽生、森内、佐藤康光と同世代だ。 将棋指しでありながら、その小気味よいエッセイに、多くのファンをもつ。 本書は、週刊文春で大好表連載中の「先崎学の浮いたり沈んだり」から 選りすぐりの60篇を収録。 読み…
1990年から1994年までの将棋界の有様を描いた本書を 将棋界ウォッチャーとして、引き込まれるように読んだものだ。 現役棋士でありかつ文才のある人物がプロ棋士の対局について 文章を書いてくれることは、多くの将棋ファンが待ち望んでおり、 その意味でこ…
塩田剛三は、合気道開祖、植芝盛平の高弟で、昭和30年合気道養神館を設立 した。(平成6年逝去) その強さは武術・武道界でとどろいているが、DVDでも多くの演武の映像が 残っている。 養神館合気道の指導書としては、まず、井上強一監修、養神館指導部編著 …
去年6月下旬から養神館合気道を習っているのだが、 (つまり、未だ初心者ということですが) 関節の極め方や体の倒し方など、その不思議な理合に はまってしまった。 武術には、過去から綿々と伝えられている叡智がつまっている。 習い始めのころに出会った…
小林まことは、1・2の三四郎もいいが、この柔道部物語が好きだ。 中学で吹奏楽部にいた少年、三五十五(さんごじゅうご)が 高校に入学して、だまされて柔道部に入れられたのだが、負けん気の強い三五には 柔道の才能があった。 随所に小林マンガの爆笑ギ…
あの「ウェブ進化論」の梅田望夫の将棋および将棋界に関する本 将棋は弱いけれども、将棋を観るのは好き、将棋のプロ棋士の言動に興味があり、 そのストイックな生き様に感銘をうける。そんな人は、自分も含めて意外に多いという くだりは読んで、そうか俺だ…
今春、息子が観たいというので、TSUTAYAにM-1グランプリのDVDを借りに 行ったのだが、あいにく2008はなく、2007を借りて帰った。 M-1は、初めて見たのだが、これが面白い。そしてこの年は 敗者復活のサンドウィッチマンが、見事優勝していた。 鉄板ネタのピ…
横山光輝の中国を題材とした漫画としては、一番初めに描かれたものではないか。 最初のころのタッチは、「伊賀の影丸」のようだ。 やたらと冗長な大長編となった「三国志」よりも、エンターテイメントとしては こちらの方がはるかに、完成度が高いと思う。 …
大東流合気柔術中興の祖、武田惣角を主人公とした痛快武闘小説。 小説ではあるが、史実に基づく実名小説だ。 この中で、武田惣角は、やんちゃな暴れん坊で、会津弁を しゃべる憎めない魅力的な人物として描かれている。鬼の冠 (新潮文庫)作者: 津本陽出版社/…
やはり、格闘シーンを描かせると、夢枕獏はすごい。 自身でも世界で一番格闘シーンを描いた作家ではないかと述べていたが、 客観描写、内面の追憶、スロー描写、アングルを変えた描写などと その技巧は極まっている。そのうえ、この手の小説は、アクションの…
将棋業界のゆかいな人々と副題のついた、大崎善生のエッセイ。 名作「聖の青春」「将棋の子」の著者にして元「将棋世界」編集長が、 将棋界の主に将棋のプロ棋士の魅力的なキャラクターを描いている。 個人的には、大山十五世名人が、非常に細かく社員旅行の…
「談志自らを語る」という内容を文章で読むのも面白い。人生、成り行き―談志一代記作者: 立川談志,吉川潮出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/05メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 15回この商品を含むブログ (24件) を見るしかしやはり談志は、DVDやCDで…
剛の磯山香織、柔の甲本早苗という真反対の、女子高生剣士を描く「武士道シリーズ」の三作目。 快調に物語が進んでいく。 「武士道シックスティーン」「武士道セブンティーン」と年齢を重ね、ついに今回はエイティーンになって、二人とも高校を卒業してしま…
立川流のホープ立川談春が、立川談志に弟子入りして前座、二つ目と、修行時代を描く。 談春も文章がうまく、あまりの面白さに引き込まれ、むさぼるように読み進めた。 多くの魅力的な人物が登場するが、もちろん師匠立川談志のキャラクターがダントツで 迫っ…
うまい。おもしろい。 これが落語家の書いた小説なのか。 ぐいぐいと読ませられるその力量に感嘆。プロボクサーとなってのサクセスストーリーが リアリティをもって迫ってくる。 落語の修業も含めて基調はストイックだ。立川談志モデルの龍太楼師匠や志の輔…