武道

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也

「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」といわれた不世出の柔道家木村政彦の名誉のために書かれた本だ。 力道山戦とは何だったのか、木村政彦とは、いかなる柔道家だったのか、7百べージ弱の大著を感じさせない面白さ。 やはり圧巻は、1951年ブラジル…

BORN TO RUN 走るために生まれた クリストファー・マクドゥー

本書の内容は、訳者あとがきで、適切に説明されている。つまり、本書は、次の3つの物語が融合している。 先ず、故障がちなランナーだった著者が、メキシコ銅峡谷にいるという白馬(カバーヨ・ブランコ)と呼ばれる謎の人物を探し、史上最強の走る民族「タラ…

身体感覚を取り戻す 斎藤孝

腰ハラ文化の再生と副題にある。かつて、明治から終戦直後あたりまで、自然体で立つ、歩く、座るという技を人々は普通に持っていた。肛門をきゅっと締める感覚、臍下丹田あたりで、帯をぎゅっと締める感覚をもち、、今とは比べられないくらい長距離を普通に…

合気道の解 安藤毎夫

合気道養神館創設者塩田剛三の高弟で、養神館龍を率いる安藤師範による2冊目の著書だ。 率直で真摯な人柄がうかがえる文章で、塩田先生との思い出、修業時代のエピソードが語られる。 伝説的な強さを誇った合気道開祖植芝盛平と塩田館長とのやりとりなど興味…

使える武術 長野峻也

著者初の新書。これまでの著作の総括本のような趣もある。武術の技の数々は、積年の厳しい修行を経なければ身につかないものではなく、その理論を知り、コツを学べば、年齢性別にかかわらず、誰でもすぐに実践できるという、これまで述べられたことがここで…

武蔵と五輪書 津本楊

宮本武蔵の五輪書を、剣道三段、居合道五段の津本楊が現代語訳とともにコメントをしている。 巻末には、全原文(および兵法三十五箇条)も掲載されている。 精神論が多く退屈かなと思っていたが、実戦を経た者のみが語りえる リアリティにみちていることが、…

昭和武闘伝 加来耕三

次の7人の武道家を描いた評伝集。 船越義珍(空手) 前田光世(柔道) 小西康裕(空手) 国井善弥(剣道) 村重有利(合気道) 澤山宗海(拳法) 白田林二郎(合気道)カッコ内の武道の記述は、大雑把すぎるかもしれない。 どの武道家も複数の流派や異種の武…

宮本武蔵 最強伝説の真実 井沢元彦

謎の多い、資料データが残っていない宮本武蔵について、現状わかっていること、 謎として論議されていること、これまでの小説家が描いた武蔵像、五輪書の内容を井沢元彦が、 わかりやすく明快にまとめた本だ。 武芸者としての武蔵、芸術家としての武蔵、五輪…

自分を生かす古武術の心得 多田容子

居合道三段、柳生新陰流兵法、手裏剣術を学ぶ時代小説作家、 多田容子が古武術についてわかりやすく論じる。 「武術は一つの感覚を身につけると、何年たっても使える」 「古武術の稽古は、頑張って身体を鍛えるというよりは、 注意深く感覚を研ぎ澄まし、い…

もっと知りたい武術の極意 長野峻也

現在、5作出版されている「武術」シリーズの4作目。 みな、非常に参考になる内容なのだが、 以前紹介した「誰も知らない武術のヒケツ」とともに、 この武術の極意は大きな感銘を受けた。 「武術は、老若男女の別なく、素質と才能の有無に関係なく、 誰もが達…

古伝空手の発想 宇城憲治監修 小林信也

古伝空手の宇城師範に師事して5年となるスポーツライター小林氏が その武術の真髄の一端を発信しようとした本だとある。 胸の真ん中にライトがあると意識してそこから強い光を照らすと それだけで身体が強くなる、など、興味深い指摘がいくつもでてくる。 時…

合気道 修行 塩田剛三

合気道開祖植芝盛平の直弟子で、養神館を設立した塩田剛三の著書。 実戦合気道家として、現代武道界では広く知られた人だったそうで 数々の伝説が語られている。本書でも、自らの体験談が随所で語られている。 しかし、抽象論と武勇伝が多いこの手の本とは違…

私の身体は頭がいい 内田樹

フランス現代思想を専門とする内田樹教授の身体論をあつめたアンソロジーだ。 このひと、合気道多田宏師範の弟子で、合気道六段、居合道三段、杖道三段の 武道家でもある。 そのブログは多くの読者から支持されているが、この本もおもしろい。 「合気道とは…

塩田剛三直伝合気道 呼吸力の鍛錬

塩田剛三は、合気道開祖、植芝盛平の高弟で、昭和30年合気道養神館を設立 した。(平成6年逝去) その強さは武術・武道界でとどろいているが、DVDでも多くの演武の映像が 残っている。 養神館合気道の指導書としては、まず、井上強一監修、養神館指導部編著 …

誰も知らない武術のヒケツ 長野峻也

去年6月下旬から養神館合気道を習っているのだが、 (つまり、未だ初心者ということですが) 関節の極め方や体の倒し方など、その不思議な理合に はまってしまった。 武術には、過去から綿々と伝えられている叡智がつまっている。 習い始めのころに出会った…