2012-01-01から1年間の記事一覧

無私の日本人 磯田道史

無私であり、利他の精神で、ひたむきに生きた3人の日本人の傑作評伝。 穀田屋十三郎 中根東里 太田垣蓮月 みな、名利を求めず、無名で生涯を終えたが、接した人々の心に深く残った。 著者の表現を借りると「濁ったものを清らかなものに浄化する力」をもった…

タブーの正体! 川端幹人

元「噂の真相」副編集長によるメディアタブーの解説本。 皇室、宗教、同和、政治家、検察、警察、財務省、大手広告主関連(ユダヤ、一部大企業、電力会社、電通)、芸能プロダクションに対して、メディアが触れない実態が、非常に明確に述べられている。 な…

怪物はささやく パトリック・ネス

「怪物は真夜中すぎにやってきた」から始まる。重病のお母さんと二人で暮らしている十三歳の男の子コナー・オマリーのもとへ巨大なイチイの木の怪物がやってくるのだ。 怪物は3つの物語を話してきかせるから、コナーにその後、四つめの真実の物語を話すよう…

合葬 杉浦日向子

慶応四年・明治元年、彰義隊に参加した少年たちの上野戦争の物語。 未経験で、見通しのきかない、一途で揺れ動く心をもてあまし、悩んでいる少年たちが、必ずしも、信念をもって参加したわけでもなく、戦争の中で死んでいく様が、見事に描かれている。静かな…

望郷の道 北方謙三

賭場を仕切る家の婿となり、家業を発展させていく前半、台湾に渡り、菓子会社を創業、発展させていく後半。ひと組の男女の出会い、別れ、再会、そして故郷の地への帰還という大河恋愛小説であり、一代の事業成功物語でもある。 北方の曽祖父がモデルとのこと…

懐かしい人たち 吉行淳之介

随筆集から抜き出された追悼文もしくは故人となった人たちとの交友に限定した文章からなる あとがきは平成6年3月とあり、死去の4ヶ月前だ。 世の中にはどうでもよいことを冗長に小難しく語る輩がいる一方で、重要なことを簡潔に記述する人がいる。 吉行のエ…

今宵、あの頃のバーで 先崎学

週刊文春連載の人気エッセーの最新刊(連載は10年500回を超えた)。 あいかわらずの面白さで、将棋の現役プロ棋士の生活と意見が描かれている。 近作「千駄ヶ谷市場」は、とてもわかりやすいと喜んでいたが、執筆の苦労が語られている。 大変な労作だったの…

文章読本さん江 斎藤美奈子

「『いよっご機嫌だね、大将!』と思わず肩を叩きたくなるような雰囲気が文章読本にはただよっているのだ」 とあるが、そこを揶揄して、祝「文章読本」執筆○○さん江という意味合いで、本書のタイトルがつけられた。 文章読本執筆者といえば、文豪、大ベテラ…

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也

「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」といわれた不世出の柔道家木村政彦の名誉のために書かれた本だ。 力道山戦とは何だったのか、木村政彦とは、いかなる柔道家だったのか、7百べージ弱の大著を感じさせない面白さ。 やはり圧巻は、1951年ブラジル…