芸能

ざこBar 桂ざこば

米朝一門を支える桂ざこばの芸能50周年を記念して出版された自伝。 ざこばの落語は、決して流暢でない語り口から、その落語世界に引き込まれていくのだが、前段の語りがまた絶品だ。 そっちの方が面白いと言われて本人は腐ったりしているが、この本も、ま…

落語進化論 立川志らく

魅力ある落語とは何か、真摯に熱く語られながらも、内容はめっぽう面白い。 ・落語は非常識を肯定する ・落語は即ち人間の業の肯定である ・落語はイリュージョンである とは立川談志の定義だが、それを極めようとする志らくが、 ・名人の落語には江戸の風が…

全思考 北野武

「大学をやめようと思ったとき、新宿の空は後にも先にも見たことがないくらい真っ青に晴れ渡っていた」 「東京の芸能界でビートたけしをひとり作るために、何万人が死んだと思ってんだ」 「作法というのは、突きつめて考えれば、他人への気遣いだ」 「人類の…

仏果を得ず 三浦しをん

健(たける)が師匠の銀太夫から兎一郎とコンビを組むように言われるところから物語は始まる。 健はまだ三十ちょっとの若手に属する文楽の太夫だ。文楽は義太夫節、三味線、人形劇からなる人形浄瑠璃のこと。健は義太夫節を語り、兎一郎は三味線を弾く。時に…

男気万字固め 吉田豪

これはすごい対談本だ。 ・山城新伍 ・ガッツ石松 ・張本勲 ・小林亜星 ・さいとう・たかを (文庫化記念のボーナストラックとして) ・本宮ひろ志 ・乙武洋匡 という男気あふれる面々へのインタビュー集である。 この男たちへの並々ならぬ興味によって、対…

ショーケン 萩原健一

ショーケン萩原健一の自叙伝。坪内祐三と福田和也の両氏が「ショーケン」はいいと対談で話していたので、読んでみたのだが、とても面白かった。 テンプターズ解散後、1983年大麻取締法違反による逮捕、2005年恐喝未遂による逮捕と、これまで3度のどん底を味…

愚者の旅―わがドラマ放浪 倉本聰

「前略おふくろ様」「北の国から」の倉本聰が、脚本家としての半生を振り返った。 ニッポン放送時代、NHKとのケンカ、札幌へ、そして富良野塾開設へと人生は展開していく。 その間、様々な人たちとの劇的な出逢い、怒りに身を震わせる仕打ち、感激に涙を…

桂米朝 私の履歴書 桂米朝

日経新聞連載の桂米朝の自伝。米朝よもやま噺で、つれづれに語られていた思い出が、自伝で読むとつながってくる。きちんと分けた髪型でいつも本を読んでいる様子から、てっきり事務員かなと思っていたところ、高座に上がって落語を語り始めたのでびっくりし…

米朝コレクション 桂米朝

桂米朝を最初に知ったのは、「千両みかん」だった。ふと立ち寄った店でカセットテープを衝動買いしたのだ。 まだ五十前後のころのものだろう。円熟し、はつらつとしていた絶頂期といっていい時期ではなかっただろうか。それで、病み付きとなってしまった。 …

アー・ユー・ハッピー? 矢沢永吉

五十一歳になった矢沢永吉が「しあわせ」について語る。 熱い肉声がそのまま聞こえてくるようだ。 「成りあがり」は壮大な予告編だったと裏表紙にある。あの糸井重里編集の「成りあがり」は、鮮烈だった。 矢沢のファンだけでなく多くの若者の心をとらえたメ…

雨ン中の、らくだ 立川志らく

立川談志の弟子、立川志らくによる全十八章からなる談志論。 各章には、すべて志らくの好きな談志の落語のタイトルが並ぶ。(第一章松曳き〜第十八章芝浜) これが、志らくの入門から前座、二つ目、真打昇進、現在に至るまでの 青春物語とともに語られる。 …

漫才ギャング 品川ヒロシ

テンポよく進むストーリーと、主人公たちの交わす会話が気持ちいい。 思わずつっこんでしまう漫才師気質。 売れない芸人の黒沢飛夫は、やけ酒の末にトラブルに巻き込まれ、警察の留置所で 鬼塚龍平と出会い、物語は進んでいく。 品川ヒロシはこれが小説第二…

爆笑問題 大田光自伝 大田光

爆笑問題の大田光が1歳から35までの半生を虚虚実実ならぬ虚虚虚実で語る。 小学校で気になる女の子は、ドロシー・ホップちゃん、友達のモンキー・J・アレンが、 なんて答えて、インタビュアー(田中ではない設定)がなんの突っ込みもいれず、当然のごとく話…

漫才病棟 ビートたけし

ビートたけしの自伝的小説。浅草の演芸場に出ている漫才コンビ、ヒトシ・サトシの ヒトシはまだ二十代の売れていない漫才師だ。 漫才師、落語家、手品師、浪曲師、モギリのおばさん、進行係りのおばさんなど、浅草演芸場の芸人模様 が描かれ、さらに、乞食、お…

円生と志ん生 井上ひさし

昭和20年夏終戦直前から昭和22年春まで、旧満州国南端の大連を舞台とした戯曲。 五代目志ん生こと美濃部孝蔵(55歳) 六代目円生こと山崎松尾(45歳) を主人公に、大連の、 旅館「日本館」 遊郭の置屋「福助」 町外れの廃屋 委託販売喫茶「コロンバン」 カ…

 代書 寝床 桂枝雀

今は亡き天才落語家、桂枝雀の落語CD。 枝雀演じる名作は、もちろん数々ある。 その中で、この代書は、地下鉄で聴いていて思わず吹き出してしまった。 そんなことは、十年ぶりくらいだった。 この代書を頼んできた松本留五郎のどぼけた間がたまらなく、おか…

オンリー・ミー 私だけを 三谷幸喜

三谷幸喜初のエッセイ集。 これが抜群に面白い。どの項をとっても面白くないものはないのだ。 ということは、どこから読んでも笑えるのである。 初めの部分の文章には、三十一歳のこの僕が、などとでてくるが、 仕事に乗りに乗っている若手人気脚本家が、自…

おかしな男 渥美清  小林信彦

「若き日の素顔を丹念に浮かび上がらせる、実感的人物論」と新潮文庫のカバーにあるが まさにそのとおりで、渥美清との交流を交えながら、ずっと観続けてきた 渥美のコメディアンとしての仕事に対する芸能論といったらよいだろうか。 細い目、下駄のような顔…

松本紳助 島田 紳助 , 松本 人志

いやあ、テレビ番組「松本紳助」はめちゃくちゃ面白かった。 毎回、今日はどんな話をするのかワクワクしたものだ。 島田紳助の漫才をみて、お笑いを志向したという松本人志。 ここでは、紳助のしゃべりに対する絶妙な受け役として 変人ぶりを発揮していた。 …

敗者復活 サンドウィッチマン

今春、息子が観たいというので、TSUTAYAにM-1グランプリのDVDを借りに 行ったのだが、あいにく2008はなく、2007を借りて帰った。 M-1は、初めて見たのだが、これが面白い。そしてこの年は 敗者復活のサンドウィッチマンが、見事優勝していた。 鉄板ネタのピ…

人生、成り行き 立川談志

「談志自らを語る」という内容を文章で読むのも面白い。人生、成り行き―談志一代記作者: 立川談志,吉川潮出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/05メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 15回この商品を含むブログ (24件) を見るしかしやはり談志は、DVDやCDで…

赤めだか 立川談春

立川流のホープ立川談春が、立川談志に弟子入りして前座、二つ目と、修行時代を描く。 談春も文章がうまく、あまりの面白さに引き込まれ、むさぼるように読み進めた。 多くの魅力的な人物が登場するが、もちろん師匠立川談志のキャラクターがダントツで 迫っ…

ファイティング寿限無 立川談四楼

うまい。おもしろい。 これが落語家の書いた小説なのか。 ぐいぐいと読ませられるその力量に感嘆。プロボクサーとなってのサクセスストーリーが リアリティをもって迫ってくる。 落語の修業も含めて基調はストイックだ。立川談志モデルの龍太楼師匠や志の輔…