漫画

合葬 杉浦日向子

慶応四年・明治元年、彰義隊に参加した少年たちの上野戦争の物語。 未経験で、見通しのきかない、一途で揺れ動く心をもてあまし、悩んでいる少年たちが、必ずしも、信念をもって参加したわけでもなく、戦争の中で死んでいく様が、見事に描かれている。静かな…

ぼくんち 西原理恵子

「鳥頭対談」でゲラゲラ笑い、続いて「この世でいちばん大事な「カネ」の話」を読み、西原母子の関係や旦那とのその後を知った。鳥頭対談で面白おかしく語られただけではないことが分かり、そして、この「ぼくんち」を読んだ。とても読者に受け入れられない…

千年の夢 齋藤なずな

文人たちの愛と死と副題にあるとおり、誰もが知っている文学者たちの愛憎模様が描かれる。 各作家の作品と評伝に基づくフィクションと断ってあるように、自由奔放に各作家の作品を料理して展開している。 与謝野晶子、高村光太郎、夏目漱石、芥川龍之介、林…

火の鳥 鳳凰編 手塚治虫

ご存知、手塚治虫の代表作にして不朽の名作、火の鳥の中の一作だ。 火の鳥の中で、この「鳳凰編」には、最も大きな感銘をうけ、何度読み返したか わからない。時は、奈良時代、片目が見えず、片手もなく生まれた我王の半生を中心に 物語は展開していく。我王…

喜劇新思想体系 山上たつひこ

「がきデカ」で一世を風靡している少し前から描かれていた 山上たつひこの傑作ギャグ漫画だ。 虫歯のために、ほっぺたがパンパンにはれてしまい、主人公が歯医者にいったところ 「はいはい」といわれてズボンとパンツを脱がされ、おチンチンをみられ 「うー…

ワタリ 真田剣流  白土三平

カムイ外伝が映画化されて話題となっているが、抜け忍カムイの孤独な逃亡生活 と非情な忍者の世界を描いたこの作品は、1965〜66年に少年サンデーに連載され、 のち、1982〜86年にビックコミックに連載されている。私としては、当初の 少年サンデー連載のころ…

裸のお百 一ノ関圭

ビックコミックで初めて読んだときはその描写力に圧倒されて、衝撃をうけたものだ。 力強い線で描かれる女性はすばらしく美しい。この骨太の作品が女性によるものだと 知ってすこし驚いた記憶がある。 「らんぷの下」「裸のお百」は、もちろん好きなのだが、…

虹色のトロツキー 安彦良和

あのガンダムの安彦良和の作品。まだ、当事者が生きているかもしれない 時代の事件に取り組んだ力作だ。 満州国の建国大学に主人公の青年ウムボルト(日蒙混血)が入学するところから 物語ははじまり、ノモンハン事件で終わる。 ストーリーとして混沌とした…

[柔道部物語 小林まこと

小林まことは、1・2の三四郎もいいが、この柔道部物語が好きだ。 中学で吹奏楽部にいた少年、三五十五(さんごじゅうご)が 高校に入学して、だまされて柔道部に入れられたのだが、負けん気の強い三五には 柔道の才能があった。 随所に小林マンガの爆笑ギ…

水滸伝 横山光輝

横山光輝の中国を題材とした漫画としては、一番初めに描かれたものではないか。 最初のころのタッチは、「伊賀の影丸」のようだ。 やたらと冗長な大長編となった「三国志」よりも、エンターテイメントとしては こちらの方がはるかに、完成度が高いと思う。 …