水滸伝 横山光輝

横山光輝の中国を題材とした漫画としては、一番初めに描かれたものではないか。
最初のころのタッチは、「伊賀の影丸」のようだ。
やたらと冗長な大長編となった「三国志」よりも、エンターテイメントとしては
こちらの方がはるかに、完成度が高いと思う。
祝家荘戦のあたりから梁山泊軍としての戦いが本格的に始まり、おもしろくなる。
いくつかの戦いを経て、「まるで疾風のようだ」と敵軍の将に言わしめる無敵の
梁山泊軍となっていく。
豹子頭林冲(ひょうしとうりんちゅう)、花和尚魯智深(かおしょうろちしん)、
黒旋風李逵(こくせんぷうのりき*漫画では鉄牛の方で呼ばれる)などの豪傑が
必ずしも原作に忠実ではなく魅力的に描かれる。ストーリーも弛緩すること
なく展開される。最後の結末は、原作にそっているのだろうが、これは別の
終わり方があったのではないか、と少し残念だ。
その後、いろんな作家による小説水滸伝を読んだが、この漫画の魅力は決して
色あせない。

水滸伝全6巻セット (潮漫画文庫)

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