血涙十番勝負 山口瞳

中原、米長時代が到来する前、いまから三十年以上前に、
当時の一流棋士と飛車落ちで対局した十番勝負の自戦記だ。
敗戦が重なり、自分のふがいなさに、連載をやめようとする
など、その勝負に対する真剣さが好ましい。
そして、本人がこれは棋士銘銘伝のつもりで書いていると
あるとおり、対局する棋士たちのことを、実に魅力的に紹介している。

血涙十番勝負 (中公文庫)

血涙十番勝負 (中公文庫)

この本がでて、しばらく、囲碁のプロ棋士たちが、囲碁界に
「血涙十番勝負」がないのは痛いと、うらやましがったそうだ。
飛車落ちで3勝をあげ、この後、角落ちによる「続血涙十番勝負」
へと続く。
すでに、絶版になっているが、「棋士、その世界」中平邦彦
あわせて読むと、当時のプロ棋士の魅力がよくわかる。