アー・ユー・ハッピー? 矢沢永吉

五十一歳になった矢沢永吉が「しあわせ」について語る。
熱い肉声がそのまま聞こえてくるようだ。
「成りあがり」は壮大な予告編だったと裏表紙にある。

あの糸井重里編集の「成りあがり」は、鮮烈だった。
矢沢のファンだけでなく多くの若者の心をとらえたメッセージだった。
どこかの雑誌の質問に坂東玉三郎も愛読書にあげていたっけ。
夜汽車にのって、東京へ出て、サクセスを目指し、勝ち取った二十八の男の肉声に圧倒された。

新装版 矢沢永吉激論集 成りあがり How to be BIG (角川文庫)

新装版 矢沢永吉激論集 成りあがり How to be BIG (角川文庫)

その「成りあがり」から二十年以上たち、年齢と経験を重ねて、
矢沢は、より自然に自分をだして、その魅力は何倍にも大きくなっている。
その闘う姿勢、自立への強い意志、自分の音楽のクォリティを追求する姿勢
は健在で、裏切り、離婚と再婚、海外進出等、これまでの
軌跡が、率直な口調で語られていく。
矢沢永吉という人間のたまらない魅力はどこから来るのだろう。
自分をみつめ、包み隠すことなく率直に思いを告げているところが
胸に響いてくるのか。
「神様は、オレが成功したら全部くれるといったのに、なんでオレはいまこんなにハッピー
じゃないんだ。苦しいよ。オレは幸せになりたい」
キャロル解散のころの思いとしてでてくるこのフレーズはストレートに胸を打つ。

アー・ユー・ハッピー? (角川文庫)

アー・ユー・ハッピー? (角川文庫)