米朝コレクション 桂米朝

桂米朝を最初に知ったのは、「千両みかん」だった。ふと立ち寄った店でカセットテープを衝動買いしたのだ。
まだ五十前後のころのものだろう。円熟し、はつらつとしていた絶頂期といっていい時期ではなかっただろうか。それで、病み付きとなってしまった。
「軒付け」「宿屋仇」「百年目」と何度聞いたことだろうか。
このたび、米朝コレクションにより、活字で読んでも面白いことがわかった。
米朝の魅力はなんといっても、大店の旦那、番頭ではないかと思うのだが、百年目はむずかしいと本人が述べていた。
十八番の大ネタで、そんな風に思っていたとは、初めて知った。

米朝は、最近「米朝よもやま噺」を出している。
見開き2頁で1話という形式で、かならず珍しい本人や芸人たちの写真がついている。古い芸人たちの思い出、枝雀、ざこば等の弟子、南光、吉弥、雀三郎、雀々等の孫弟子の思い出や最近の噺が語られ、米朝の声が聞こえてくるようだ。
興味深かったのが、枝雀にとって最終目標は「たちぎれ線香」だったのではないかという弟子の小米のコメントだ。たちぎれだけは突破口が見出せず、崩せなかったのではないかと。
確かに自分の高座を泣きながら聞いていたと米朝も述懐している。そうだったのか。

米朝よもやま噺

米朝よもやま噺

藝、これ一生 米朝よもやま噺

藝、これ一生 米朝よもやま噺