円生と志ん生 井上ひさし

昭和20年夏終戦直前から昭和22年春まで、旧満州国南端の大連を舞台とした戯曲。
五代目志ん生こと美濃部孝蔵(55歳)
六代目円生こと山崎松尾(45歳)
を主人公に、大連の、
旅館「日本館」
遊郭置屋福助
町外れの廃屋
委託販売喫茶「コロンバン
カトリック系女子修道院の物干し台
などを舞台に、話は進行していく。
落語論をたたかわせたり、小噺づくりに励んだりというくだりもでてくる。
終戦後、大陸に残され、いつ日本に帰れるかわからないという悲惨な状況の中での
話なのだが、二人のやりとりは飄々としている。
残念ながら、両名人ともライブでみたことはない。
しかし、録音でも、志ん生の「火炎太鼓」は、すばらしく面白い。
この戯曲でも、この話がタイトルになっているシーンがでてくる。
紀伊国屋ホールで角野卓造志ん生を演じたとあるが、目の前で演技しているような
気分に浸れる。

円生と志ん生

円生と志ん生