使える武術 長野峻也

著者初の新書。これまでの著作の総括本のような趣もある。武術の技の数々は、積年の厳しい修行を経なければ身につかないものではなく、その理論を知り、コツを学べば、年齢性別にかかわらず、誰でもすぐに実践できるという、これまで述べられたことがここでも表されている。特に、ダンサーのように、身体能力がたかく、リズム感のよい人間が、武術の技を教えられると、驚くほど修得も速いという。また武術は、競技スポーツのように体力勝負ではなく、年を重ねてノウハウ技能の量が蓄積されるとさらに強くなるのだから嬉しい。ガチガチに筋肉を鍛えるよりも、脱力したやわらかい身体運用が肝要だということだ。

使える武術 (ちくま新書)

使える武術 (ちくま新書)

同時期に出版された新刊「ヒトを観抜く武術の読み」と併せて読みたい。
ヒトを観抜く 武術の読み

ヒトを観抜く 武術の読み