もっと知りたい武術の極意 長野峻也

現在、5作出版されている「武術」シリーズの4作目。
みな、非常に参考になる内容なのだが、
以前紹介した「誰も知らない武術のヒケツ」とともに、
この武術の極意は大きな感銘を受けた。
「武術は、老若男女の別なく、素質と才能の有無に関係なく、
誰もが達人へと至ることのできる稽古システムを有する極めて
貴重な身体文化なのです。」
という文章はなんと魅力的であろうか。

それが可能となるのは、重力を活用するからである。そのためには
姿勢を正して、重心を骨盤の中心にあつめることが、基本となり、
その集めた重心を自在に操るためには、脱力が必要となる。
なるほどお、と目からウロコがぼろぼろ落ちていくのである。

別の章では
「まず、体軸(中心軸)を確立する。確立された体軸を軸移動させる
ことによって、特に技は非常に効率的に機能化されます。」
とある。

さらに武術で最も重要なのは、「読み」とあり、カウンター攻撃の
理論が集大成されたものとして「交叉法」が述べられている。

後半では、基礎練体法として、
脱力体をつくる「スワイショウ」、
姿勢を維持するのに必要な筋力だけ鍛える「立禅」、
骨盤の動きを全身に繋げて重心移動のできる身体を作る「三元試力」
と、丹田歩法が紹介されている。
そして、独り練習の目的と注意点、二人組んで練習する意味についても
懇切に説明されている。

武術シリーズの最後に、毎作、章を設けて語られる、テレビ、映画のアクション俳優
に対するコラムは、本作では、若山富三郎について熱く語られている。
(これも毎回、面白く読んでいる)

もっと知りたい武術の極意

もっと知りたい武術の極意