昭和武闘伝 加来耕三

次の7人の武道家を描いた評伝集。
船越義珍(空手)
前田光世(柔道)
小西康裕(空手)
国井善弥(剣道)
村重有利(合気道
澤山宗海(拳法)
白田林二郎(合気道

カッコ内の武道の記述は、大雑把すぎるかもしれない。
どの武道家も複数の流派や異種の武道・武術の修行をした後に、自分の武道を確立している。
タイトルとして出ていないが、唐手の本部朝基摩文仁賢和、合気道開祖の植芝盛平
上記武道家の師として登場する。
本部朝基を主人公とした今井敏「武士猿」という小説もある。相当強かったらしい。

前田光世は、アメリカ、ヨーロッパ、南米と渡り、異種格闘技戦を繰り広げたことで有名だ。
夢枕獏は、前田光世を描こうとして「東天の獅子」を書き始めて4巻を費やしてやっと最後に
少年時代の前田が登場したところだ。
横田順弥「明治バンカラ快人伝」にも1章を設けて紹介されているが、なかなか面白い人物だったようだ。

国井善弥は今武蔵といわれ、他流から挑まれれば全て受けてたち、生涯不敗だったという。
このようなすごい武人が昭和41年まで生存していたのだ。

村重有利、白田林二郎は、塩田剛三と同時期に、植芝盛平開祖のもとで修行していたとあり、
養神館合気道塩田剛三が設立)を学んでいる身(まだ初心者ですけど)としては、非常に興味深く読んだ。

なお、この前に書かれた「武闘伝」では、合気道塩田剛三、阿部正が、章を設けて取り上げられたいるが、本書では除かれている。
その後書かれた「戦後合気道群雄伝」と重複することが考慮されたものと思われるが「戦後合気道群雄伝」は植芝吉祥丸 合気会二代目道主の評伝的な色彩が強く、群雄に関してはあまり掘りさげられていないのが残念だ。

昭和武闘伝―現代日本武道の掛け橋となった男たち

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