合気道の解 安藤毎夫

合気道養神館創設者塩田剛三の高弟で、養神館龍を率いる安藤師範による2冊目の著書だ。
率直で真摯な人柄がうかがえる文章で、塩田先生との思い出、修業時代のエピソードが語られる。
伝説的な強さを誇った合気道開祖植芝盛平と塩田館長とのやりとりなど興味深い話もでてくるし、大学の先輩で、現在、錬身会を率いる千田務師範や同い年の中野仁史師範との関係も語られる。
体軸という中心線を維持する力である中心力から、丹田の発動による呼吸力、そして気のつながりによる誘導へと、合気道は進化発展していくのだという内容は、なるほどと思わせる。
養神館合気道の稽古を始めて週2回のペースで2年と少しという初級者でも、得るところの多い本だから、中級者、上級者にとっては、なおさら参考になる点が多いのではないだろうか。
確かに高段者の技は、力を抜きながらも、相手の力を利用して、あるいは、重心の移動によって、威力ある切れのあるものとなっている。そのコツの一端が、随所で述べられているようだ。
呼吸力を会得すると抑えの力が使えるようになるとの記述は、正直、現段階では、よくわからない。
しかし、本書によって、修業の将来展望が開けた思いがする。
養神館の構えは中心力をつくり、手の指先までの力の流れを生み出すための、教育的に考えられた構えだとの記述は、納得がいく。書道でいうと、養神館は楷書であり、合気会は、草書、行書という表現もある。初心者がいきなり草書をまねても、普通はものにならないだろう。その意味で、養神館合気道の修業方法は、理にかない、武道の高見に登っていく可能性を示唆しているように思う。
武道に興味のある人には、面白い本ではないだろうか。ただし、合気道をやったことのない人には、技の分解写真をみても、理解できないにちがいないが。ぜひ、塩田館長の演武を記録したDVDも一緒にみることをおすすめする。すごいよ。

合気道の解―“引き寄せの力”が武技と人生を導く!

合気道の解―“引き寄せの力”が武技と人生を導く!