身体感覚を取り戻す 斎藤孝

腰ハラ文化の再生と副題にある。かつて、明治から終戦直後あたりまで、自然体で立つ、歩く、座るという技を人々は普通に持っていた。肛門をきゅっと締める感覚、臍下丹田あたりで、帯をぎゅっと締める感覚をもち、、今とは比べられないくらい長距離を普通に歩いていた。
その腰ハラが安定している人々を写した土門拳などの写真も提示されている。
型についての柔道の吉田秀彦のコメントが興味深い。稽古で重視したのは、試合形式の乱取りではなく、気持ちを入れた打ち込みだというのだ。技をかける条件を一定にしておいた上で、その技をかけるバリエーションを意識の中で様々に想定しながら行う打ち込み稽古の方が得意技を磨き上げるのに適しているという。
武道における型稽古の重要性を示唆している。
様々な思想書、整体や武術関係の古典が引用されているのも興味深い。
その一方で、四股立ち、六方など具体的な方法が提示されており実践的だ。息を長く穏やかに吐く呼吸法についても、3秒吸って2秒息をとめ、15秒吐くというやり方が具体的に示されている。

身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)

身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)

さらにその技法編として「自然体のつくり方」がある。
自然体のつくり方 (角川文庫)

自然体のつくり方 (角川文庫)

そして、二十年にわたる研究成果をまとめた「呼吸入門」がある。
一気に読むことのできる本を目指したとあるとおり、呼吸の大切さがわかりやすくまとめられている。
三・二・十五の斎藤式呼吸法をさっそく実行している。
呼吸入門 (角川文庫)

呼吸入門 (角川文庫)