エッセイ
随筆集から抜き出された追悼文もしくは故人となった人たちとの交友に限定した文章からなる あとがきは平成6年3月とあり、死去の4ヶ月前だ。 世の中にはどうでもよいことを冗長に小難しく語る輩がいる一方で、重要なことを簡潔に記述する人がいる。 吉行のエ…
村上春樹がストイックに体を鍛えているという話は聞いていたが、ここまで本格的なランナーだとは知らなかった。毎年フルマラソンを完走し、100キロマラソンにも参加し、トライアスロンも挑戦している。 これは、エッセイではなく、メモワールだと本人が述べ…
トイレに入って落書帳に記入。大のツマミをまわして出ようとすると逆流。 水位がどんどん上がってくる。落書帳をひきよせ「P.S.大変なことになりました」 こんなことしとる場合か!!さてどうする!?の箇所で、吹きだしてしまった。「女子が三人とも十七…
執筆時、八十歳になるかならぬかだが、この生き生きとした文章はどうだろうか。食べ物に対する記憶が鮮やかに語られていく。文士たちとの交流、戦時中の海軍での食事、ハワイ、パリ、上海など海外でのエピソードに、豊かな気分にさせられ、にんまりしながら…
刊行時、京都妙心寺山内霊雲院住職である著者が、かつて三十三年間つかえた無文老師について語ったもの。 人生の折り返しを過ぎてしまったなどというのは、まだ、同じ年月を生きることを前提にしているが、今の息の次の息ができるかどうかがわからぬのがこの…
JALの機内誌に連載のエッセイ集第2弾。このところ、めっきり航空機を利用しなくなったが、毎月この連載を読むのを楽しみにしていた。改めて読んでみても、数多くの旅をした人だけが語れる体験談は、そのユニークな行動とあいまって、惹き込まれていく。中…
ノーベル賞を朝永振一郎とともに受賞した物理学者ファインマンが思い出を綴った自伝的エッセイ。 ファインマン少年は、ラジオの裏をあけ、いじるたびに手を休めて考えた。また、10代のときに三角法を解きながら、その数学記号が気にくわなくなって、自分で記…
心理療法家・カウンセラーとして権威的な存在だった河合隼雄による55のエッセイ。 悩みを抱えているとき、その言葉が、こころに響いてくる。 100%正しい忠告はまず役に立たない 説教の効果はその長さと反比例する 人間理解は命がけの仕事である 生まれ…
夕刊フジ連載のコラムで、山藤章二の挿絵とあいまって、メチャクチャ面白い。 タイトルは、もちろん「地獄の沙汰も金次第」のもじりだが、一時期SF作家で はやって、「筋骨隆々仕上げをごろうじろ」(星新一)「短小包茎夜川を渡る」などの 作品がうまれ、…
しかし、すごいタイトルである。日垣隆のエッセイ、コラムは読みだすと次々と読んでしまう。 売文生活日記とあるとおり、日記形式で、論評、論争、論戦が展開されていく。 相手は、信濃毎日新聞、みずほ銀行、旅行代理店、不動産会社等々で、読んでいて、な…
宮脇俊三は、鉄道紀行の最高の文章家ではないかといわれている。 現在多くの作品が絶版となっているのは誠に残念なことだ。 鉄道による出張の際、司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズとともに 宮脇の鉄道エッセイを行き帰りの車中で楽しんで読んでいた時期が…
平成の鬼平ともいわれた中坊公平氏の自叙伝。 虚弱で、人付き合いも下手で、劣等生であった、ぼんぼん育ちの少年が、いかに弁護士中坊公平となったのか率直な口調で語られる。 成人してもお腹がゆるく、よくしくじるなど、親近感のわく話も多い。 強く印象に…
成毛真久しぶりの著書である。今回も期待に違わず、大人気なさの重要性を様々な角度から語った、 刺激にあふれた内容だ。自身の体験も含めての豊富なエピソードも興味深い。 この前の著書は「本は10冊同時に読め!」だったが、本は10冊同時に読め!―本を読ま…
女優片桐はいりの初エッセイ。これが初めて書いたとは思えない平明な文章で引き込まれるように読ませられる。 映画「かもめ食堂」撮影のためにフィンランドに滞在したことをきっかけに 書き下ろされたとあるが、書かせた編集者はえらい。森と湖の人々との交…
しばらく目を離していたら、ゲッツ板谷のベスト本がでていた。 知らなかった。早速読んで、また、腹をかかえることとなった。 「許してガリレオ!」「妄想シャーマンタンク」「直感サバンナ」 「戦力外ポーク」「情熱チャンジャリータ」の5冊から抜粋した エ…
とてつもない「バカ」エピソード満載の爆笑エッセイ。 父、祖母、弟とその仲間たちという、強烈なバカ(著者がいっているのだ)のパワーに 圧倒され、腹をかかえてよじれ舞い落ちてしまう。 表紙を開けると「ばあさん」「けんちゃん」(父)「セージ」(弟)…
広告ディレクター佐藤尚之のエッセイ集。 長い大阪勤務で培ったランチに対するこだわり、それが 東京に戻ってみると、誰もランチに誘ってくれない。 あげくに自分の歓迎会の幹事を自分がやることに。 という話からはじまり、花火、震災、ダイエットと ユニー…
馳星周として作家デビューする前、本名の坂東齢人名義で、本の雑誌に6年間書き続けた書評集だ。 齢人はレーニンからとったのだそうだ。 毎回の個人的な前振りがやたらと長く、二日酔い、競輪、愛犬の話、ゴールデンウィーク進行、年末進行に 対する愚痴など…
海軍大好き、鉄道大好きおじさん(おじいさん)として有名な 小説家、阿川弘之の随筆集。いまや、阿川佐和子の父親と言った方が 話がはやいか。あくび指南をはじめ、すべてのタイトルが落語からとられている。 友人、師匠、世相、旅と鉄道など、その落語のタ…
浅田次郎のエッセイは面白い。格調高く下品で、涙と笑いに 満ちている。 内容はバラエティに富み、ギャンブルの話、小説創作に まつわる苦労、自衛隊時代のエピソードなど、話題に事欠かない。 国家論を論じたかと思えば、排便の話もでてくる(みごとな一本…