懐かしい人たち 吉行淳之介

随筆集から抜き出された追悼文もしくは故人となった人たちとの交友に限定した文章からなる
あとがきは平成6年3月とあり、死去の4ヶ月前だ。
世の中にはどうでもよいことを冗長に小難しく語る輩がいる一方で、重要なことを簡潔に記述する人がいる。
吉行のエッセイは後者の典型ではないだろうか。しかし、繊細な感性を感じさせる。
柴田錬三郎佐藤春夫島尾敏雄など作家との思い出の文章で構成され、久しぶりに吉行の文章を読んで、心地よかった。

懐かしい人たち (ちくま文庫)

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エッセイでは、夕刊フジに連載され、山藤章二のイラストのついた「贋食物誌」もおすすめ。

贋食物誌 (中公文庫)

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