金ではなく鉄として 中坊公平

平成の鬼平ともいわれた中坊公平氏の自叙伝。
虚弱で、人付き合いも下手で、劣等生であった、ぼんぼん育ちの少年が、いかに弁護士中坊公平となったのか率直な口調で語られる。
成人してもお腹がゆるく、よくしくじるなど、親近感のわく話も多い。
強く印象に残り、生きていく姿勢も変わったエピソードが、美しい景色に見とれてしまうというものだ。
豊島案件だったか、深刻で厳しい難事件を担当していても、車のまどから夕日をみて、おもわず
「ああ、きれいやなあ」とつぶやいて、しばし見惚れてしまうというものだ。
あるいは、忙しく移動する新幹線のなかで、お弁当のシュウマイを味わって「ああ、おいしいなあ」
と堪能する。
このような姿勢は、厳しい局面になればなるほど、大切だと思う。
これを読んで後、出張の途中で、中坊さんの真似をして、きれいな木々や、青空に目をほそめて「きれいやなあ」と言っている自分があった。(ちょっとアホみたいだが、効果はあるので、やってみることをおすすめする)

金ではなく鉄として

金ではなく鉄として