どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか? 梅田望夫

羽生善治名人の対局のリアルタイム・ウェッブ観戦記とエッセイ対話編で構成される。
久しぶりに読み応えのある将棋のプロ棋士の本だった。
木村一基八段は、攻めを急がせる局面に誘導して無理攻めをさせて、その局面を凌いで受けきっていくという羽生のコメントは説得力がある。なるほど、木村八段の強さを的確に表現している。
また、山崎隆之七段については、序盤の構想が面白く、その新鮮な対局を羽生は楽しんでいる。しかし、その後、山崎の方でバランスを崩して形勢が傾いてしまうことが多い。羽生は、終局の後いつも、勝ったのに、すごく残念そうにして怒ったような態度をとるという。そう語る山崎のコメントに、口をとがらせている姿が想像されて吹き出してしまった。(山崎七段がんばって)
三浦弘行八段、深浦康市九段の項では、現代将棋における研究競争が語られる。後手2手目8四歩問題はとても興味深く読んだ。
最後に、まとめられた羽生の強さに対する分析もさすがの内容だ。