北斗の人 司馬遼太郎

北辰一刀流の流祖、千葉周作の半生を描いた小説だ。さわやかな青春小説ともいえる読後感だ。
竜馬がゆく」の初めの頃に、竜馬が桶町千葉道場で修業し、四国で他流試合をするくだりの描写などに通じるものがある。(ちなみに、桶町は周作の弟千葉貞吉の道場)
馬医者をやっている父の幸右衛門は、家名を興そうと思ったが志を得ず、望みを息子の周作に託している。異常なほど元気なそのキャラクターは、面白い。ちょっと、武蔵の父、無二を主人公にした「行くのか武蔵」(好村兼一)を思い出した。(もちろん、本作の方が先だ)
かつて敗北を喫した雪辱をはらすため、上州最大の剣門、馬庭念流に挑み、制覇していく。

新装版 北斗の人(上) (講談社文庫)

新装版 北斗の人(上) (講談社文庫)

新装版 北斗の人(下) (講談社文庫)

新装版 北斗の人(下) (講談社文庫)