射都英雄伝(しゃちょうえいゆうでん) 【第2巻〜第5巻】 金

う〜ん、この物語をどう考えればよいのか。つまり、おすすめ本としてとりあげるべきかどうかということであるが、第1巻で大いに期待がふくらんだのとは、大分ちがった内容でした。
では、面白くないのかというと、面白かったです。
イヌワシを弓で射落とした主人公(タイトルはここからきている)郭靖(かくせい)と美少女黄蓉(こうよう)は、旅をかさねてさまざまな事件に遭遇する。

【2】江南有情
【3】桃花島の決闘
【4】雲南大理の帝王
【5】サマルカンドの攻防

射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (2) (徳間文庫)

射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (2) (徳間文庫)

射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (3) (徳間文庫)

射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (3) (徳間文庫)

射雕英雄伝〈4〉雲南大理の帝王

射雕英雄伝〈4〉雲南大理の帝王

射雕英雄伝〈5〉サマルカンドの攻防

射雕英雄伝〈5〉サマルカンドの攻防

という各巻のタイトルのとおり、舞台は大きく移り変わっていき、最後はホラズム帝国の首都サマルカンドにいき、ジンギスカンの死で物語は終わる。しかし、話の展開や、性格描写など、かなり大味な感じはいなめない。この点が気にならない人には、おすすめだ。
ちょっと、アラビアンナイトを思い出したりした。

●黄薬師(こうやくし)
「東邪」の異名を持つ東海桃花島の主。黄蓉の父。
●欧陽鋒(おうよう ほう)
「西毒」の異名を持つ西域白蛇山の主。
●一灯大師(段智興)(いっとう(だん ちこう))
「南帝」の異名を持つ僧で、出家前は大理国の皇帝。
●洪七公(こう しちこう)
「北乞(ほっこつ)」神出鬼没で美食に目がない。
●周伯通(しゅうはくつう)
「老頑童(ろうがんどう)」の異名を持つ。天真爛漫で無邪気な性格。
など、の武術の達人が多数登場するが、すべて特異なキャラクターで、必ずしも勧善懲悪的なステレオタイプでないところが面白い。

なんといっても、キャラクターが際立っているのは、黄蓉(こうよう)だ。美少女で、頭がよく機知にとみ、策略をめぐらし、武人たちを翻弄していく。それでいて郭靖(かくせい)のことを伴侶だと一途に思い定めている。