北方謙三の「水滸伝」ノート 北方謙三

北方謙三の「水滸伝」(全19巻)「楊家将」「血涙 新楊家将」「楊令伝」の読者にとっては
興味深いだろう。
水滸伝は、キューバ革命を念頭に置きながら描いたとか、リアリティを積み重ねていくのが
小説であるなど、面白い話がいろいろと語られる。
水滸伝」執筆と並行して、「楊家将」という宋建国時の、水滸伝の豪傑たちの祖先の時代
のストーリーを書き、そして今、梁山泊第二世代の「楊令伝」が執筆されているわけだ。
全19巻の水滸伝という超大長編小説を書くにあたり、さらに、大きな歴史の流れも視野にいれて
執筆していたとは驚きだ。(p166)

宋建国時の英雄楊業と軍閥楊家の興亡、楊家の末裔である青面獣楊志梁山泊での活躍、その志を
継いで行く楊令の物語と、武人の系譜でつながっていることは、気づいていたが、
楊令が、楊業の別名とは、うかつにも気づいていなかった。

水滸伝をめぐるこれらの小説群以外にも、北方は、中国を題材に「三国志」(全13巻)、
史記 武帝紀」(現在、執筆中)を書いている。
三国志は、演義ではなく正史にちかいと、いわれていたが、実際、正史に基づいて創作したと
述べられている。

秦の始皇帝に対する興味も語られており、今後どのような作品が生み出されるのか
次回作が待たれてならない。

集英社文庫 水滸伝BOX

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