浪漫疾風録 生島治郎
傑作「黄土の奔流」の作者にして、日本ハードボイルドの草分
生島治郎の編集者時代を描いた実名小説。
主人公、越路玄一郎は自分の分身だとしているが、その他は
実名で登場する。
越路は早川書房に入社し、「EQMM(エラリークインズミステリマガジン)」の
編集者から編集長になっていく。
田村隆一、都筑道夫、佐藤春夫、開高健、常盤新平、星新一、
田中小実昌、吉行淳之介、鮎川哲也などなど、有名作家が
続々出てくる。
そして、最後の方で、EQMMの編集長となったとき、ライバル誌
「ヒッチコックマガジン」の編集長として、大学の同級生
小林信彦が登場する。
(小林の編集者時代の話は名作「夢の砦」にくわしい)
しかし、生島治郎の小説の文章は本当にうまい。すらすらと
頭にはいり、ストーリーに入り込んでいける。
編集者をやめ、作家として独立するところで本書は終わる。
- 作者: 生島治郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/08
- メディア: 文庫
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