浪漫疾風録 生島治郎

傑作「黄土の奔流」の作者にして、日本ハードボイルドの草分
生島治郎の編集者時代を描いた実名小説。
主人公、越路玄一郎は自分の分身だとしているが、その他は
実名で登場する。
越路は早川書房に入社し、「EQMM(エラリークインズミステリマガジン)」の
編集者から編集長になっていく。
田村隆一都筑道夫佐藤春夫開高健常盤新平星新一
田中小実昌吉行淳之介鮎川哲也などなど、有名作家が
続々出てくる。
そして、最後の方で、EQMMの編集長となったとき、ライバル誌
ヒッチコックマガジン」の編集長として、大学の同級生
小林信彦が登場する。
(小林の編集者時代の話は名作「夢の砦」にくわしい)
しかし、生島治郎の小説の文章は本当にうまい。すらすらと
頭にはいり、ストーリーに入り込んでいける。
編集者をやめ、作家として独立するところで本書は終わる。

浪漫疾風録 (講談社文庫)

浪漫疾風録 (講談社文庫)