人間における勝負の研究 米長邦雄

さわやか流、泥沼流といわれた米長九段、永世棋聖の古典的名著。
将棋のプロ棋士に大きな影響を与えたといわれる。
中原十六世名人のライバルとして活躍し、多くのタイトルを獲得、
そして、悲願の名人を中原から奪取し、史上最高齢の名人となった名棋士
先崎学八段、林葉直子元女流名人・王将の師匠でもある。
この中で述べられている、自分にとっては消化試合でも、相手にとって
運命を決する真剣勝負であった場合、相手と同様に死力を尽くして
闘わなければならない、という主張は、多くの一流若手棋士
受け入れられている。
その一戦に負けるとプロ資格を剥奪される棋士とは、自身も一生の運を
かけたつもりで、全力で戦い首をきった。
生涯最後であろうA級昇進のチャンスに賭けているベテラン棋士
(自分は昇級には関係ないながらも)必死の粘りで打ち負かした。
このようなエピソードとともに、そのおかげで、タイトルを獲得できる
棋士になることができたのだと語る。もし、そのようなとき、緩めるような
指し方をするなり、勝負は二の次でいいや、などという指し方をしていれば
今の自分はなかったと。
毎年3月初め、A級順位戦の最終局の模様が「将棋界の一番長い日」として
BSで放映される。年間の総当りリーグ戦の結果、名人挑戦者とB1への降級者
2名が決定されるのだが、最終の5局全てで、真剣な戦いが展開され、
毎年ドラマが起こる。