幸之助論 ジョン・P・コッター

松下幸之助を、リーダーシップ論の泰斗コッターが論じた本だ。
一時期、松下幸之助の「経営心得帖」「決断の経営」などの著作を読むとともに
講演テープを出張中にいつも聞いていた。
利益に対する考え方など大変参考になったが、全般的には当たり前の正論を
述べているなあという印象だったが、あきることなく聞き入ってしまうのだ。
同時に、松下幸之助のエピソードについても、読み漁ったものだ。
質問するのもうまかったそうで、あるとき、エアコンの修理にきてくれた
若者に「ご苦労さんやなあ、どうや困ってることはないか」などと
話しかけ、その後にやってきた工場のトップに「君んとこ、最近こんなことが
問題になっているそうやないか」と指摘したところ、びっくり仰天されて
なんでそんなことまで知っているんですか、さすがは経営の神様や、と感心された。
大阪万博の際に、炎天下に長い行列をつくって待っている人に紙でつくった日よけ帽を
支給した。ただし、その帽子には松下電器と大きく書かれており大いに宣伝効果をあげた。
あのカリスマ経営コンサルタント大前研一氏も幸之助とのやりとりを、その著書で語っている。
本書では、生涯にわたって学び続ける姿勢を貫き、そして人間の本質と潜在能力に対しては楽天的で、
苦難も成長の糧と考え、実際にそれを乗り越えてさらに成長していったことが、
松下幸之助の偉大な業績に結びついたと、論じられている。
赤字を出した経営幹部に対して、大変きびしい態度で臨んだ姿も描かれている。

幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語

幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語