黄土の奔流 生島治郎

わが冒険小説オールタイムベストテンに間違いなく入る傑作だ。
舞台は第二次世界大戦中の中国・上海。主人公紅真吾は、破産状態にある。
同じ重さの黄金より高値がつくという、極上の豚毛を買い付けにいくために、
銃弾と激流の中をくぐり抜けて、揚子江を往復するという、命がけの仕事を引き受けることとなる。
正体のわからない、わけありの連中が集められ、幾多の危機をくぐり抜けながら船は長江をさかのぼっていく。
冒険小説の王道をゆく本格エンタテインメントで、年を経てその魅力は増しているように思う。

黄土の奔流 (双葉文庫)

黄土の奔流 (双葉文庫)