新宿遊牧民 椎名誠

椎名誠の自伝的小説シリーズの最新刊。
本の雑誌血風録」のあと、「新宿熱風どかどか団」を執筆し
本作となる。
何か面白い遊びを思いつくとみんなを集めてやっていたガキ大将
のころと全く同様に、椎名誠は、まわりの仲間を巻き込み、世界を旅してルポを書き、
映画をつくっていく。そして、その過程でさらに、信頼できる友人や仲間が増えていく。
しかしまあ、そのエネルギーは尋常ではないと、あきれる。
新宿三丁目の「池林房」には一度いったことがあるだけだが、「海森」にも行きたくなった。
椎名誠の小説は、決してむずかしい言葉やひねった言い回しを使わず、しかし、
ぐいぐいその世界に引き込んでいく力がある。
400ページを超えるボリュームは、全く気にならない。
そして、読み終えたあと、椎名をとりまく多くの人たちの、生き様というか、キャラクターと
いうか、その来し方行く末に思いをはせることになるのだ。
それも決して深刻で重い感じではなく、ドライな明るい思いなのである。

新宿遊牧民

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