秘剣 白石一郎

傑作時代短編集。表題作「秘剣」は白石一郎の代表作といってもいい名品だと思う。
父の部下たちにお茶をだしていた娘は、若者の指が欠けていることに気づいて
お茶をこぼしてしまう。若者はさわやかに穏やかなものごしで、その粗相に対する。
娘は、気持ちをつかまれてしまい、このひとの妻になりたいと思い定めるのだ。
若者は、剣の名人といわれた父の跡を継げず、まわりから軽んじられていた。
しかし、かれは、その娘が自分と同じ嘲笑を周囲から受けぬため、その秘剣を
明らかにすることを決意する。
何度読み返したかわからない傑作短編だ。

秘剣 (新潮文庫)

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