夢の始末書 村松友視

村松友視中央公論社に18年8ヵ月勤めて、作家として独立、直木賞作家となる。
その編集者の時代に「作家たちとの幻想的なライブを愉しんだ」と言い、
しかし、多くの人びとに迷惑もかけたので、「始末書」という言葉をからめたのだ
と、あとがきにある。
登場する作家は、野坂昭如唐十郎船橋聖一、水上勉色川武大武田泰淳・百合子
などで、最後の方に、椎名誠吉行淳之介があらわれる。
椎名誠は、「本の雑誌」編集長として村松に原稿を依頼し、村松は、作家椎名に「海」の
原稿を依頼する。
そして「私、プロレスの味方です」がベストセラーとなり、いくつかの作品を発表し
村松友視は会社をやめることを決意する。
作家とのライブという非日常を日常とする夢にも似た編集者の生活に別れを告げたのだった。

夢の始末書 (ちくま文庫)

夢の始末書 (ちくま文庫)

幻冬舎をおこす見城徹の本を読んで、文芸誌の編集者とは、すごいもんだなと思っていた頃
本書を興味深く読んだ。そして、「本の雑誌血風録」のころの椎名誠も登場して、なるほど
村松と椎名は同世代(といっても、村松は椎名より4歳年上)なんだなと改めて気づいた。