くノ一忍法帖 山田風太郎

なんじゃあ、こりゃあ。一番最初にこの小説を読んだ時はぶっ飛んだ。
風太忍法帖のなかで最高傑作の一つといわれる名作。
忍法帖は15作以上は読んでいると思うが、そのとおりだと思う)
豊臣秀頼の子供を宿した者を含む真田の女忍者5名とその暗殺に家康から
差し向けられた5名の伊賀忍者との死闘を描いたものだが、
ここで繰り広げられる忍法が、女性器と男性器をもちいた世にも奇怪な
ものなのだ。(信濃忍法対伊賀忍法)
交わった男の精液から血液までも一滴残さず吸い取って抜け殻にしてしまう忍法筒涸らし。
己の子宮内にいる胎児を外へ出し、他人の子宮へ移し変える忍法やどかり。
異常なまでの粘着力を持っている精液が空気に触れると瞬時に乾燥してなめし皮
のような強靭さを発揮する忍法肉鞘。
その精液を浴びた女性は、雌犬のごとく悶え苦しみながら、精液を浴びた
場所を嗅ぎ当てるようになる忍法 恋しぐれ
などなど、奇想天外とはこのことか。女対男の戦い、子供を守ろうとする
母性の戦いという様相も呈して、さすがの結末、最後の一行へと向かっていく。

くノ一忍法帖 山田風太郎忍法帖(5) (講談社文庫)

くノ一忍法帖 山田風太郎忍法帖(5) (講談社文庫)

山田風太郎は、忍法帖のあと、新たなジャンル「明治もの」を展開していき、
最後は、室町時代を題材に作品を描いた。
明治ものでは、歴史上の有名人を意外な場所で登場させてその物語の登場人物と
交錯させるという手法をつかい、成功している。また、あと千回晩飯をくったあたりで死ぬような気がするといってはじめた
エッセイ集「あと千回の晩飯」など、そのエッセイもユニークでおもしろい。
パンくずで庭に「バカ」と書いて、その形に雀が群れるのを見て楽しんでいた
などという話もたしか、どこかのエッセイにあった。
あと千回の晩飯 (朝日文庫)

あと千回の晩飯 (朝日文庫)